勤務間インターバル制度が4月から努力義務に!【メディックスメールマガジン】vol.177

2019年5月23日配信 ◆━━━◆~おかげさまで創立30周年!~ ┃【メディックスメールマガジン】vol.177 ◆━━━◆━━━━━━━━━━━━━━◆ メディックスメールマガジンをご愛読いただきまして ありがとうございます。 「働き方改革」の一環で、4月から「労働基準法」が 変わったことについては、以前にもお伝えしておりますが、 それ以外にも関連する法律の改正・施行が行われました。 その一つが「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」、 通称「労働時間設定改善法」です。 今回の「労働時間設定改善法」改正では、 「勤務間インタバール制度」が努力義務化されました。 今回はこの「勤務間インターバル制度」について解説いたします。 ■勤務間インターバル制度とは 勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後から 翌日の勤務開始までに一定の休息時間を確保するという 制度です。 例えば残業で遅くなった場合、翌日の始業時間を遅らせる といった形が定められることになります。 就業時間が午前9時から午後5時までの職場で、11時間の 勤務間インターバル制度を導入したとしましょう。 この場合、午後11時まで残業があったとしたら、翌日の 午前10時に出社しても遅刻にはなりませんし、 10時に出社して通常の午後5時に退社しても1日分 勤務した扱いになります。 こうした制度が4月1日から努力義務化されており、 努力義務ですから特に細かい設定もなく、何時間の インターバルを設けるべきかも決まっていません。 厚労省有識者検討会からは「8~12時間」との 報告書が出て過労死遺族から「11時間は必要」との 反発が出たことがニュースになっていました。 ちなみEUの規定では11時間のインターバルが 設定されています。 一方で「時間外労働等改善助成金」では 「9~11時間以上」と設定されているため、 このあたりのインターバル時間が目安になると 考えられています。 ■勤務間インタバール制度の必要性と制度化の経緯 上記でEUの規定や過労死遺族の意見に触れましたが、 以前から長時間労働の是正や各労働者の健康確保などの 観点で、日本でも導入の議論が起きていました。 特に過労死や過労による自殺などが社会問題として 大きく取り上げられるにつれ、日本でも導入の 議論が盛んになり、2016年に閣議決定された 「ニッポン一億総活躍プラン」の中で、企業の 勤務間インターバル制度の導入を支援する方針が 示されました。 その結果、2017年頃から日本の企業でも導入企業が増え、 ユニ・チャーム、TBC、KDDIなどが導入し始め、 徐々に浸透しています。 その後、政府は議論を続け、今回4月1日の改正によって 努力義務化となりました。 政府では2020年までに勤務間インターバル制度の 導入企業を10%以上に拡大することを目標に掲げています。 そのために、勤務間インターバル制度に関する助成金 「時間外労働等改善助成金 勤務間インターバル導入コース」 の範囲拡大や助成金額の増額が行われています。 助成金額の最大値がこれまでの倍の100万円となりました。 ■勤務間インターバル制度に関する留意点 勤務間インターバル制度を導入する上で留意すべきことは どんなことなのでしょうか? まず、勤務間インターバル制度を導入するためには 始業時刻や終業時刻の適正な把握が不可欠となります。 勤怠管理システムの有効活用もさることながら、 例えば退勤したことにしてサービス残業が行われるなど していると、勤務間インターバル制度も有効に 用いられないので、こうした環境を整備する必要もあります。 また、今回は事業者の努力義務という形に留まり、確保する 休息時間をはじめ、様々な内容が事業者任せになっている点も 注意が必要です。 導入企業の1つであるソフトバンクでは、緊急の業務や 時差がある海外との連絡などは例外としていますが、 こうした例外や特例、社内でも努力義務とするかなどは、 事業者に委ねられています。 休息時間もEUのように11時間に設定すると導入の ハードルは上がり、逆に8時間の設定では導入は容易ですが 過労死遺族の反発があるように効果は限定的となります。 職場の業務の実態に合わせた、休息時間や制度の構築が 重要です。 さらに、通勤時間の扱いも決められているわけではないため、 労使間の話し合いによって決定する必要があります。 現時点では努力義務の勤務間インターバル制度ですが、 既に36協定の特別条項設定や高度プロフェッショナル制度導入の 健康確保措置の選択肢にも勤務間インターバル制度導入が 定められており、強力に推進する国の意思が感じられます。 今後、努力義務から義務化される可能性も低くないため、 この機会に勤務間インターバル制度について、関心を持ち、 考え始めてみてはいかがでしょうか? 開業資金、開業場所、各種手続き, 接骨院・整骨院の開業に 必要なノウハウをお伝えするセミナーを定期的に開催しております。 セミナーの詳細確認やお申し込みは、下記リンクよりお願いいたします。 https://www.mdx-center.com/seminar/seikotsuin_kaigyo/?utm_source=20190523&utm_medium=mail ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 【メディックスメールマガジン】はメルマガ会員の皆様に お役に立つ情報を発信し続けて参ります。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。